micro:bitで小学生に理論的思考を – WDLCがプログラミング教育を大々的に支援

情報機器や情報サービスに関する業界を超えた連携によって、新たなデジタルライフスタイルの提案を目指す業界団体「WDLC」(ウィンドウズ デジタルライフスタイル コンソーシアム)は2018年6月13日、2020年度から必修化となる小学校のプログラミング教育を支援する「MakeCode×micro:bit 100プロジェクト」を開始することを明らかにした。WDLCは「若い人々に、Society 5.0など新しい世界を築いてもらうため、日本のICT教育推進に尽力する」(WDLC 会長 梅田成二氏)と、プロジェクト実施の意義を語った。

現在、日本は官民をあげて、プログラミング教育にまい進している。それは、文科省が2017年3月に公示し、2020年度から施行する新学習指導要領内で、プログラミング教育を含む情報活用能力を重要事項として加えたからだ。俗にいう「小学校プログラミング教育」が2年以内にスタートする訳だが、担当各省はもちろん、民間企業も積極的な支援を始めている。

だが、WDLCが小中高生の父母1,200名に行った調査によれば、小学校プログラミング教育必須化を「知らない」と回答した割合は43.9%。また、中学校は2021年度、高校は2020年度からICT教育を効果することを「知らない」と回答した割合は59.5%と、大半の保護者がプログラミング教育に無関心であることが見て取れる。

このような背景からWDLCは、プログラミング教育をいち早く取り入れたい小学校100校を対象に、BBC(英国放送協会)が開発したシングルボードコンピューター「micro:bit」を寄贈し、小学校から提供してもらう授業レポートやサンプルコードをWDLCの特設サイトに掲載する予定だ。

具体的には、2018年6月20日からWDLC事務局で受け付けを開始し、同年7月6日に応募を締め切って、希望する授業内容などをベースに寄贈する小学校を決定・通知。そして7月20日から各小学校へ合計2,000枚のmicro:bitを送付する。

本プロジェクトを実施する前段としてWDLCは、2018年6月1日に千葉大学教育学部付属小学校4年生の理科「電気のはたらき」という授業で、プログラム教育授業を実施した。WDLCは「小学校でmicro:bitとMicrosoft製プログラミング学習環境である『MakeCode』を使用し、プログラミングの世界を体験してもらうのが目的」(WDLC事務局員 春日井良隆氏)とする。なお、授業の様子はYouTubeでも視聴できるため、ご覧いただきたい。

実際の授業では小学生がMakeCodeを使用し、「ボタンを押すとハートマークがLEDで表示」するようなシンプルな内容からスタート。「子どもたちは(MakeCodeを見て)できることを試して行く最初のフェーズ」(春日井氏)だ。操作に慣れてきたら、「暗くなったらLEDにお化けのアイコンを表示」するお題目を出し、ここから小学生の理論的な試行錯誤が始まる。

MakeCodeには「入力」「論理」といったカテゴリーを用意し、例えば入力には「明るさ」、「基本」には「アイコンの表示」、「論理」にはIF文などの制御構造が用意されている。子どもたちは、これらをパーツとして組み合わせ、理論的思考を養いながらプログラミングを学ぶという仕組みだ。授業の内容を説明した春日井氏は「正解は無限大。子どもの数だけ正解がある」と、自由な発想で理論的思考を養えるとアピールした。

  • WDLC、MakeCode×micro:bit 100プロジェクト

    「MakeCode for micro:bit」を使ったプログラミング授業の例。ダウンロードボタンを押すと、USB経由でマイクロビットにコードをダウンロードし、結果を確認できる

WDLCはプログラミング授業の振り返りとして、常葉大学教育学部の関係者から、「自発的に新しい発想が生まれた」「その発想を実現するための理論的思考」「6年生で学ぶ『電気の利用』に向けた素地作り」といった感想を得たと語った。

千葉大学教育学部付属小学校4年生の皆さんからは、「北を向いたら光るライトを作りたい」「暗くなったら音が出るライトを作りたい」といったフィードバックを得た。なお、MakeCodeはパーツを用いると同時にJavaScriptベースのプログラミングも可能なため、「小中高と継続的なプログラミング教育に利用できる」(春日井氏)という。

WDLCは本プロジェクトの発表と同時に、文部科学省・総務省・経済産業省が運営する「未来の学びコンソーシアム」へ参画することを合わせて発表した。今回の会見に訪れた各省担当者は、「コンソーシアムを通じて、民間団体とともに教材開発や情報提供など広く活動しているが、限界を感じている。WDLCの本プロジェクトによる支援は時宜にかなう」(文部科学省 大臣官房審議官 白馬竜一郎氏)。

「総務省はデータ利活用型スマートシティ推進事業として、『未来をつかむTECH戦略』を公表した。子どもから高齢者までが学校外でモノ作りや、デザインを学ぶ『地域ICTクラブ』の整備を進めている。本プロジェクトと連携しながら、学校内外での拡充を目指したい」(総務省 情報流通行政局 情報流通振興課 情報活用支援室長 田村卓也氏)。

「(AI活用時代に向けて)重要になるのが教育。初等プログラミング教育は特に重要だ。本当の意味で日本人の人材育成・教育基盤として取り組んでいる。だが、取り組みを成功させるには教員・関係者だけでは難しい。WDLCと協力して(ICT教育の)発展を目指したい」(経済産業省 経済産業政策局参事官 併 産業人材政策担当参事官室長 伊藤禎則氏)とのコメントを寄せた。

  • WDLC、MakeCode×micro:bit 100プロジェクト

    左からNECパーソナルコンピュータ 能登氏、デル 柏倉氏、東芝クライアントソリューション 荻野氏、総務省 情報流通行政局 情報流通振興課 情報活用支援室長 田村卓也氏、文部科学省 大臣官房審議官 白馬竜一郎氏、経済産業省 経済産業政策局参事官 併 産業人材政策担当参事官室長 伊藤禎則氏、WDLC会長 梅田成二氏、日本HP 沼田氏、富士通クライアントコンピューティング 近上氏

  • WDLC、MakeCode×micro:bit 100プロジェクト

    サンプルコードの概要。周辺の明るさを検知してアクションを起こす方法が記載されているが、これもあくまで一例だ

2018年に入ってから、官民によるプログラミング教育に関する動きは活発化している。筆者個人の意見としては、残すところわずか1.5年間で実現できるのか、という疑問が拭えない。

ただ、幼年期の積極性や知識の吸収力は大人のそれを大きく上回る。「案ずるより産むが易し」となるに違いない。小学校プログラミング教育の開始年度、我が家の息子たちは学校を卒業し、実際の教育現場を見ることができないことが残念だ。本件については継続的に注目し、読者に有益な情報があれば、追ってご報告したい。

阿久津良和(Cactus)

引用元:この記事を読む

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